SNSと脳の作用

参考

The Internet is Worse Than Ever – Now What?

フィルターバブルの神話

従来、SNSは「フィルターバブル」という現象により、個人に適した情報を増幅し、反対意見を排除すると考えられていた。しかし実際のところは、現実世界の他者との交流の方がずっと強い「フィルターバブル」が存在し、イデオロギー的に隔離されている。SNSにはむき出しの多様性があり、ゆえに考え方の違いに悩まされることが多い。

SNSの多様性を脳はさばききれない

情報技術の進展により、人類がアクセスできる情報は多様で膨大になった。しかし、その情報を受ける人間の生物学的な構造は狩猟時代からほとんど進化しておらず、この状況に適応できていない。人間の脳は、生存戦略として社会構造を構築することに重点が置かれており、異なる意見や情報に対する受容が難しくなるようにできている。この脳の特性を「社会的選別(Social Sorting)」と呼ぶ。人間は自分の考えの外側を簡単には受け入れられないのだ。

さらに、アテンション・エコノミーがこの問題を助長している。アテンションを引くためのアルゴリズムや言葉は、極端で攻撃的な発言を誘発し「社会的選別」により強い共感や反感を生み出す。現代の人類は経済のためにSNSを介して脳が踊らされているのかもしれない。

意図的な分断

人間の脳はすぐには進化しない。脳の持っているバイアスを理解し情報に接することも重要だが、自分の外側=仕組みの部分を変えるにはどうすればいいのだろう。

実は、現人類の脳に合ったモデルがすでに存在している。それはSNS以前のインターネットだ。掲示板/フォーラム/ブログなどが分かれて存在し、接続を維持するアルゴリズムがなく、多様な集団を形成している。小集団には独自の文化や奇妙なルールがあり、どこか現実の生活に似ている。

あえて、意図的に分断する。「社会的選別された」小さなオンラインのコミュニティになることが、脳の負担を軽減し、多様性を理解するシンプルで効果的な解決策なのかもしれない。

まとめ

SNSの多様性を脳はさばききれない。人間は根本的に、意見の相違を認めることが困難な生物である。なので、あえてインターネット上でも意図的に分断することで、違いの壁を把握し、相互理解を促進できるようになる。