本当に優しい人になる

読書本

小さいことにくよくよするな!の感想です。

初版: 2000/6/16

著者: Richard Carlson

概要

本当に優しい人とは、客観的で楽観的な人です。小さなことにくよくよしないことで余裕を生み出し、その余裕で人にやさしくできます。

「小さいことにくよくよするな!」と「7つの習慣」の2つの書籍の相性はとても良いです。「7つの習慣」を人格の土台として、「小さいことにくよくよするな!」を読み込むと理解が深まると思うので、その関連性について記述します。

7つの習慣との関連性

以下に関係するトピックをあげます。

第1の習慣「主体性」- 刺激と反応の間

  • 刺激を受けてすぐ反応する 刺激を受けてすぐ反応してしまうのは動物のすることです。このようになってしまった人を「反応的な人」と呼びます。人間的に主体的に行動するなら避けるべきです。

  • 主体的な行動とは刺激を適切に認識し行動を選択すること 刺激をうけて自分で情報を受け止め整理してから反応します。これにより主体的な行動ができます。

  • 反応的な人の問題点 自分自身をもたず、ただ流されている人。芯がないからブレてしまいます。 そして過剰な反応をします。

    反応的な人は、周りの物理的な環境に影響を受ける。天気が良ければ、気分も良くなる。ところが天気が割ると気分がふさぎ、行動も鈍くなる。

    [^1]: 7つの法則 82p

    反応的な人は、社会的な環境にも左右される。彼らは「社会的な天気」も気になってしまうのだ。

    [^2]: 7つの法則 82p

    反応的な人の言葉は、責任の転嫁である。

    自分には責任がない、自分の反応を選ぶことはできないといっているのである。

    [^3]: 7つの法則 92p抜粋

  • 自覚する 主体性の土台は自覚であり、自分を自分自身で導くことができるようになります。

第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」

自分の葬式を想像して「いい人生だった」と思えるは非常に重要な今を生きる尺度となります。人は死ぬこと、ものがこわれることは絶対だと認識します。諸行無常、形あるものは壊れるのです。人だけでなくプロジェクトもそう、終わりのときに達成すべき目標を明確にすることで現在からの差を図ることができます。

第5の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」

自分の意見を相手に一方的に押し付けることはしてはいけない。まず相手の主張を理解をしてから、相手に意見を言います。共感して話を聞いてあげることは、相手の欲求を満たしてあげることになります。

共感して話を聞いているとき、あなたは相手に心理的な空気を送り込んでいる。心理的な生存のための欲求を満たしてあげることによって初めて、相手に影響を与え、問題の解決へとむかえるのである。

[^4]: 7つの法則 347p

しかし共感による公聴にはリスクもある。相手の話を深く聴くには、強い安定性が必要になる。自分自身が心を開くことによって、相手から影響を受けるからだ。傷つくこともあるだろう。それでも相手に影響を与えようと思ったら、自分もその人から影響を受けなければならない。それが本当に相手を理解するなのである。

[^5]: 7つの法則 349p

優しい人になる10個の戦略

10個のカテゴリに分けてまとめます。

1. 全ては小さいことと思う

  • 全てのことを小さいことと考えます。小さいことは無数にあり、過剰に反応するだけ無駄です。

2. 嫌なことを起こさない他人との関わり方

  • 批判をしないようにします。批判されて嬉しい人なんていません。
  • 他人に期待しません。他人に自分の気持ちを勝手に押し付けません。
  • 悪しき習慣に着目し、改善します。
  • 思いやり、忍耐、親切、謙遜、そして平和も日頃の心がけで習慣化していきます。

3. 嫌なことが起こったときの対処の仕方

  • 反射的に反応しません。
  • 小さなことなんて気に留めるだけ無駄です。時間と精神を消耗するだけです。
  • 口論になる場合は、大概相手だって正しいです。
  • 人が意見を言っている時は、それを批判するようにするのではなく長所を探すようにします。相手を理解できるようになり、お互いがいい気持ちになります。
  • こちらから先に手を差し出します。それは敗北ではなく、全員が勝利へ前進します。自分から差し伸べた満足感もあります。

4. 大きなことを小さなことに変換する

  • 瞬間的に怒りそうになったら深呼吸します。
  • 自分の中の大ごとも100年後みんな死んでいると想像すれば小さなことになります。
  • 遅刻なんて人生全体で見渡せば大したことではないと割り切れます。

5. 今を最重要にする

  • 人は今しか変えることができません。不安は将来起こるかもしれないことにくよくよするから生じます。
  • やるべきことリストにこだわりません。死んでもやるべきことは残っているし、多分誰かがやってくれます。
  • 自分の葬式に出るところを想像します。今自分がどんな人になりたいか、優先すべきことは何かを思い出すことができます。
  • 思いを伝えるのは今日しかありません。理由はどうあれ、私たちのほとんどは待ちすぎています。今日が人生最後の日だと思って暮らします。
  • 幸せは今いる場所にあります。

6. マイナス思考と戦わない

  • ネガティブなことは、受け入れるか流します。戦うな。
  • 自己防衛に走って返してはいけません。余計に痛い。
  • 自分に向けられた批判に同意します。批判は受け止めれば消えていきます。
  • 否定された時は落ち込まずに「またか。そんなこともあるさ」と思うようにします。
  • マイナス思考や不安のタネというのは勝手にふくれあがるものです。「ああ、またやってるよ」と自分に言い聞かせ不安のツボミを刈り取ります。
  • 否定的な感情に居場所を与えるのは、自分自身の思考に他なりません。

7. 戦うなら賢く

  • 本当に必要な時以外戦うのは無駄です。
  • 多くは取るに足りないことをめぐって戦っています。
  • 正しさを選べばいいわけではありません。心の平和を乱してでも戦う必要があるのか考え、無駄な戦いで消耗しないようにします。

8. 他人の本音を想像する

  • 他人の無邪気さに注目すると優しくなれます。
  • 奥さんや親友がきついことを言う時、本音はあなたを愛したい、あなたから愛されたいと思っているかもしれません。
  • イライラさせる行動の奥に、分かってくれと叫ぶ欲求不満の顔が浮かんでいます。

9. 相手の立場に立つ

  • まず相手の立場を理解します。先に自分のことを理解させようとするのは相手にプレッシャーを与えます。
  • こちらから理解しようと努めると、相手は「自分の言うことを聞いてもらっている、分かってもらえているんだ」と感じるものです。
  • 私たちはそれぞれ違うという事実を深く考えて尊重します。
  • おせっかいをやきません。大抵は感謝されず、逆にひんしゅくや怒りを買うことになります。本当に求められたときに百人力を発揮するようにします。

10. 善

  • 人のためにしたことは、人に言いふらすものではありません。
  • 知らない人に微笑み、目を合わせて挨拶します。
  • 与えること自体が報酬です。愛の報酬は愛。親切のお返しは心のぬくもり。

まとめ

嫌なことは反発しません。考えるだけで消耗です。一度考え始めると負のループに落ちてしまいます。たとえ嫌なことが起こってしまっても、一年たてばどうでもいい「小さなこと」に思えるはずです。

人はそれぞれ違うと理解したり相手の気持ちを想像したりすれば「そうだね、そういう考えもあるね」と思えます。人生は緊急事態ではないし、何が起こるかわからない。それが分かっているだけでも気持ちが楽になれるような気がします。

小さいことにくよくよするな。前向きに行こう!