読書本
ファクトフルネス
著者: ハンス・ロスリング
出版: 2018年4月3日
10個の本能
人間は本能に支配されてしまう生き物である。本能的に行動することは人間がかつて狩猟動物であったから。もうそんな本能は捨ててしまおう。
意識的になるべき本能は以下のとおりである。
- 分断本能
- ネガティブ本能
- 直線本能
- 恐怖本能
- 過大視本能
- パターン化本能
- 宿命本能
- 単純化本能
- 犯人探し本能
- 焦り本能
メディアによる過剰な刺激
焦り、過大視、恐怖、そしてネガティブなニュースの伝搬しやすさは、メディアや活動家の常套手段。冷静に判断しなければならない。「今すぐ始めなければならない!こうなってしまうだろう!」そのような言葉を耳にしたら冷静になるべき。判断能力を落として、人に行動を誘発させようとしている。
ジャーナリストは仕事なので、人々の本能を刺激することで購買意欲を刺激している。人々はニュースがそのようなフィルターが掛かっていることを知っておく。本能を自覚し自分でニュースを選択する。
二者択一で考えない
自由市場主義なのか共産主義なのかで問題を解決できるほど、現実の問題は簡単ではない。物事の複雑さによって柔軟に対応する必要がある。ものごとはグラデーションである。
データの見方
カテゴリに分けられたデータは適切な分類になっているか考える。例えば、生活水準の分類で考えると「国」ではなく「所得」で分類したほうがより実体が見える。
また、一つのデータを大げさに説明しているときは比較するデータが必要。もしくは割合を示してもらう。
本能とチームワークの法則
人間の本能に関して、チームワークのスタイルの一つであるスクラムとも共通点があった内容をまとめます。
過大視本能
価値の8割は、全体の2割の要素に含まれている。この2割の重要な要素により焦点をあてるべき。重要でない8割の要素を過大視されても無視していい。
「パレートの法則」と呼ばれる。 全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出している
※1986年 ヴィルフレド・パレート イタリアの経済学者
犯人探し本能
犯人をつい探してしまう。その問題は誰か一人が原因ではなくシステムの問題である。個人攻撃は見当違いなのでやめよう。
「根本的な帰属の誤り」と呼ばれる。心理学用語で、何か事象が起こったときに、原因がどこにあったのかを求めようとする心理作用を「帰属」という。自分の身に起こったことは状況であると把握できるのに、それが他の人のところで起こった場合には、その人の性格の問題だと認識してしまう。「あなたが専攻を選んだ理由は」と質問されると、自分のことは客観的に解説するのに、「あなたの親友が専攻を選んだ理由は」と聞くと、親友の能力や性格に言及して答えてしまう。人間の行動の大半は、その人を取り巻くシステムに左右されてしまう。
※1970年 ジョン・H・ホランド 「インダクション 推論・学習・発見の統合理論へ向けて」